芝居や本などで楽しくさまよう日々の記録。

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観劇

「奇ッ怪 其の参」観劇してきました

兵庫県立芸術文化センターにて、
「奇ッ怪 其の参」を観劇してきました。

日常に見え隠れする「奇ッ怪」を描くシリーズの第三弾のモチーフは、「遠野物語」。
柳田国男氏の書いた民話を集めた話…というぼんやりしたアウトラインだけしか知らない私でしたので、わかるかなという心配が少なからずあったのですが、全くの杞憂でした。たぶん、普段からイキウメの芝居を見ている人ならすんなり馴染むし、同じ世界線上にある物語のように感じるのでは、と思いました。

過去なのか未来なのか、標準化政策が施行された日本、という「異世界」が舞台。
方言を用いた迷信のたぐいを書いた本を出版したという(この世界での)罪を犯したとして拘留されたヤナギタは、迷信やあやかしを否定するイノウエの聴取のなかで、青年の語った遠野の「実話」を明らかにしてゆく…

語られる民話は寓話ではなく、説話でも、ない。
その地に生きて、その地を敬って、山と水と地とともに歴史をはくぐんできたうえで生まれいでた物語。
実話なのかどうかが重要なのではなく、人々ともにいつの間にか在った物語。
もしくは、物語というオブラートにつつんだ、残酷な、人のなまなましい歴史たち。

だから、人のこころを打つんだろう、
だれもが後ろ暗いものとともに隠し持って来たものについては、
心当たりがあるだろうから。

規制の強まるこの世の中を皮肉っているような設定でありながら、人が人である限り、このような物語は少なくはなろうともなくならないんだろうな、とも感じます。人は語らずには生きてはいけない生き物だから。会話だけでなく、SNSでも、皆語ってばかりではないですか。かたちが変化していっても、言葉を、物語を語らずに、そして聞かずに、人は生きてはゆけないのです。

この文章もまた、読まれるか読まれるかわからない、
けれど確かな語りのひとつの手段、というわけです。

…とみょーにひとり語りになってしまいましたが…!
シンプルな舞台セットに、ひとりひとりの役者さんの台詞のやりとりだけで目に見えぬ物語がぐうっと膨らんでいく、無駄をそぎ落としたすばらしいお芝居でした。
CGを使った派手な演出や豪華なセットも良いですが、このようなじわじわと意味と映像が脳裏に広がっていくような芝居もやはりイイ…!、です。

気が早いかもしれませんが其の四も待ってます…!


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※観劇予定・・「はたらくおとこ」「お勢登場」「キャバレー」「足跡姫」まではチケ確保済。新感線はまだ…
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観劇

ディスグレイスト-恥辱-を観劇してきました。

先日、兵庫県立芸術文化センターにて、
「ディスグレイスト-恥辱-」を観劇してきました。

小日向文世さん、安田顕さん、秋山奈津子さん、小島聖さん、平埜生成さんというキャストにつられて脊髄反射のようにチケットを取った舞台でしたが、内容はシリアスに同じアメリカに暮らしながらも民族間、個人間に潜む意識の違いについての物語ということで、ちゃんと理解してみられるかと心配が先に立っておりました。

が、実際はそんな心配は無用でした。もちろん日本人である私に彼らの抱えている苦悩や絶望をほんとうの意味で理解できるわけもありませんが、彼ら彼女らが抱いている「苦しんでいる」「悲しんでいる」「憤っている」という想いは受け取ることができました。それらの思想や核となるものが無くとも、その感情を感じ取ることができただけでも、充分ではないかと、私は思うのです。

理解できた、辛かったんだね!という言葉のほうこそ薄っぺらい、そんな混沌としたものだろうと考えるからです。何事においても、知ることからすべては始まる。ほんのわずかでも、こういう現実を「知る」ことができて、この舞台を見て良かったなと思いました。

そして眠気にとらわれることなく知らないことを知らせてくれたのは役者さんの力にほかなりません。硬軟自在な小日向さんの小さな身体からほとばしる圧倒的なパワーはなんとも凄い。秋山さんは艶めきを振りまきながらも芯の通った女性をしっかりと演じられていて相変わらず素敵。安田さんは(若干声が枯れてたのが残念ながら)どこか謎めいた厭らしい男をリアルに演じ、小島さんは
自立した強く気高い女性を堂々と体現し、平埜さんは純粋で無謀で、そして幼い青年をしっかりと表現している。この5人の力がかみ合ってこそ、「難しい」テーマを娯楽としても楽しめる演劇として成り立たせている、と感じました。

たまたまかもしれませんが、同じ賞を受賞した「8月の家族たち」と同様に、すべてがちりぢりになるというラストは、けれどどこかとてもカラッとしてもいて、ある意味アメリカっぽいなあとも思いました。割り切り、切り替えが早いというか。それもあってか、テーマや展開のわりに、後まで話のなかのしんどさをずるずる引きずらない物語だと思いました。

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※「キャバレー」のチケットをゲットした!来年の2月!ら、来年…もうそんな年の瀬?となんだかびっくりしたり。公演はたのしみです。

読書

角田光代「三面記事小説」


本当にあった事件から着想を得て描かれた小説が収められた短編集です。ほんのわずかな顛末しか読み手には知らされていないので、調べてみない限り実際がどうだったかはわかりませんが、その着想の広げ方は凄いと感じるものばかりでした。

この結果が、そのような過程を経たものだとは、という意外性をたのしみ、そして時折残酷で悲劇的なストーリーに「もしかしたら事実かもしれない」(実際は違うとは理解しつつも)と空想してはらはらと胸を苦しくさせられました。実際にあった、ということが頭の片隅に残っているからか、リアリティをずっしりと感じもしました。

どれもが、どこか救いがないものばかりだったので、読み心地としてはけっして楽しい、とはいえません。けれど、現実と寄り添っている向こうがわを覗いてしまったような、自分もどこかでこのように道を外してしまうかもしれないというような、そんな心地にさせられる地続きの物語で、強くあとを引く感覚を読み終えてなお残されたのでした。

最後の一編は、本当の事件のほうの顛末を知ってましたし、、この悲惨さはもしかしたら自分の身にも起こるかもしれない未来だと思えてしまったので、ひたすら恐ろしくも哀しくてたまりませんでした。

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現在読書中:「どこかでベートーヴェン」もう終盤ですが。事件よりも高校生同士の嫉妬や劣等感のないまぜになったやり取りがツラいな…

日々つれづれ

原田ひ香「人生オークション」


ユニークな設定の多い作者さんのこれまたちょっと変わったお話でした。

物語は、傷害事件を起こした叔母の身辺整理を手伝いに行く羽目になった「私」の目線で語られます。彼女は、大学を卒業したものの就職できなかった引け目もあって、そんな明らかに厄介そうな用事を断れなかったのだった。

そんなわけでしぶしぶながらも彼女は叔母とふたり、人生に転機を迎えるべく、要らないものをオークションで清算していく…、という表題作。ふわりふわりとしている叔母さんと、しじゅうイライラしているような現代っ子ぽい姪が、わかりあえているようないないようなやり取りを重ねつつ、物量的にも心理的にも少しずつ軽くなっていくプロセスが明るくやわらかく描かれています。

すごく笑えるとか泣けるとか、そういうガンっとくる印象を受ける話ではないけれど、笑える描写を挟みつつ、やがて少しだけほっこりする、そういうほっとできる、あたたかいお話で面白く感じました。

人生なかなか思うようにはいかないけれど、
あせらないでじわじわ生きていきましょう。

そんな、ちょっとした元気をもらえました。

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※現在読書中:「中野のお父さん」ほっこりの真骨頂。

読書

北村薫「太宰治の辞書」


年齢を重ねた「私」は編集者となり、そして、一児の母ともなっていた。

変わらぬ本への愛をはぐくみつづける日々を送りつつ、、むかしの本の謎を「私」は追ってゆくことになる。長い付き合いをつづける友達、そして円紫さんと他愛もなくもかけがえのないやりとりをつづけながら・・・

…まさかのシリーズ新刊というのが本当の気持ちで、読んでいくうちにああこういうトーンだった、という懐かしさが湧き上がってきて、じんわりと本の世界に浸りきっていました。

本のなかの見過ごしてしまいそうな他愛ない描写を拾い上げ、そのほのかな輝きに魅せられて、思索をつづけてゆく。「私」のおだやかな、けれど芯の通った考え方の流れるさまに、読むほうも心地よくたゆたうような気分にさせられます。

大きな驚きではなく、小さな納得を得られる、腑に落ちる、という感覚の展開なのですが、この雰囲気にまた寄り添うことができた嬉しさでいっぱいになれたという意味で、とても素敵な時間を過ごせたと思えたのでした。

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自分のこと

hito1124

Author:hito1124
 ☆読書と観劇を愛しております。
 ☆読書感想はブクログと連携始めました。
 ☆おでかけとかは別ブログでまったり更新中。
→http://kurasimuki.exblog.jp/

 ☆観劇予定(希望込)…
「8月の家族たち」
「太陽」
「アルカディア」

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