芝居や本などで楽しくさまよう日々の記録。

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

日々つれづれ

彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない」


みっともない人間にはならないように、
と常に母に厳しくしつけられてきた主人公。兄が家を出てから長く続いていた、母との小さな城を守るような二人暮らしは、主人公に年下の恋人ができたことから徐々に変化していく。

それまでなんの疑問も持たなかった当たり前の母との日常が、恋人の登場によってだんだんとくずれ変化していく日常を、丹念に繊細に追った、母娘の物語です。

言葉にしなくてもわかってほしい娘の気持ちは、母は一切鑑みない、むしろ、積極的に無視をする。自分の管理下に置いておきたいからか、「居なくなること」への恐れからか。

いずれにしても土台にあるのは愛情だということは間違いないのだけれど、あまりにもそれは自由を縛り付けて、息苦しさを感じさせる。抱きしめてくれるのはうれしいけれど、抱きしめ続けられると、死んでしまう、こわれてしまう。そういう、力加減を知らない愛情、を感じたのでした。

一方娘も母の作り上げた檻の中で生きてきたから、自分の足で歩くことをあまりにも知らなくて、彼女の生き方には不安を覚えさせられます。料理もできなければ掃除も面倒がるわがままな姿は、当たり前のように彼女の面倒を見ていた母の存在なくしてはありえないこと。甘えがあったからこそ。それがわかるけれど当人には今一つわかっていないから、恋に苦しんでいても、仕事をこなしていても、あまりにも世間知らずだなあと思ったりしました。

そんな彼女も(母親も)、それなりに紆余曲折を迎えて少しは成長していきます。先へ進むこわさを飲み込んで、新たな母娘の関係を育んでいくのでしょう。その震えながらの歩みを、そっと応援したいな、と最後には共感を覚えたのでした。誰しも母の影響なくは生きてはいられないのですから。

初めて、この作者さんの作品を読んだのですが、とても文章が丁寧で読みやすく、そして巧いと思いました。ささいなところからすくいあげた豊かな表現、温かみのある比喩、とてもこんな年齢の方とは思えないほど深みを感じました。他の作品も読んでみて、文章そのものを楽しみたい!と思います。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
*本日読了「罪の余白」…重くてミステリというよりサスペンス。こういう話はツライな…

関連記事
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment form













管理者にだけ表示を許可する

自分のこと

hito1124

Author:hito1124
 ☆読書と観劇を愛しております。
 ☆読書感想はブクログと連携始めました。
 ☆おでかけとかは別ブログでまったり更新中。
→http://kurasimuki.exblog.jp/

 ☆観劇予定(希望込)…
「8月の家族たち」
「太陽」
「アルカディア」

amazon
booklog
FC2カウンター
SEARCH

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。