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読書

桜木紫乃「蛇行する月」


教師に告白して振られた少女は、そののち働き先の菓子職人と駆け落ちをして東京へ流れ着いた。

やがて時を経て子を得た彼女は今はしあわせだと言う。
それぞれ、まったく違う人生を歩んでいる彼女の同級生たちは、彼女の生き方に強く動揺を受けるが…。

…という物語は、立ち代わり同級生の女性たちが語り手を勤める連作短編集で、それぞれの生きざまが湿度と欲と本音を伴って描かれています。男のエゴに翻弄されたり、あえて翻弄されるふりをしたり。同性だからより共感できるのか、愚かながらも自分なりに懸命に生きていく姿がとても胸に迫りました。

この物語の中心にあるのは、みずからは語り手にならない「順子」という存在。彼女は教師に告白して玉砕、勤め先で妻のある男と駆け落ち、とスキャンダラスな行動をするのだけれど、「今」はまるで純粋な少女がそのまま大人になったようなすれていない生きざまを見せつけています。大人になり社会に出た人間がぽろぽろと落としていくそのあまりにもきらきらした要素は、彼女に再会した人間を揺さぶるほど「ありえない」ものでもあった。だから動揺を受けるのだけれど、彼女はただ満足して、しあわせだという。およそ今の東京という都会にいるとは思えない生活をしているというのに。

そのしあわせだといい続ける彼女を痛ましく思うのは、間違っているのかもしれない。けれど終盤彼女が語る言葉は心の底から出ているものであることに間違いはなくて、彼女はほんとうにしあわせなんだと思わされもする。そのどこまでもまっすぐな生き方は、ひたすら美しい反面、とてもおそろしくも思えたのでした。


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hito1124

Author:hito1124
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